3.13.2012

早起きな土曜日

目を覚ますと、空はまだ薄暗くて。
寒さが肌にしみた。
「おはよう」
とパジャマ姿の君を見て、
え、まだそんな時間。
目覚めはまだ遠い。
着替えを始める君と、寝ぼけ眼でくるまる僕。
二度寝しようと、掛けた毛布を、君が引き剥がす。
「起きろぉ!」
って叫んで立ち去る。
あぁ、毛布は何処へ…。
歯を磨く僕の横で、洗濯機眺める君の横顔が何故か、自慢気に笑ってた。
時計の針はまだ5時半。
あとちょっと、寝れたのに…。

珍しくコーヒーでもって、パックを開けた瞬間。
君が僕の名前を呼んだ。
「何か用?」
って顔を出したら、笑顔の君。
何故だろう、嫌な予感。
仁王立ちの君の両手には、白くて大きなゴミ袋。
「行ってらっしゃい♪」
と持たせる君。
いや、その笑顔、反則ですって。
自転車の両脇に抱えて、陽の登る坂道をよろめきながら進む。
朝霧で霞んだ空気が、僕の頬を刺した。
ゴミ捨て場まで、あと3メートル。
自転車をもう一漕ぎ…。
悴んだ手で、ゴミを積んだ。
その時初めて気がついた。
君が一人、やっていてくれた。
支えてくれてた、何気ない日々。
坂を下る僕の目に、飛び込んできた僕らの町。
これからどれほどの時間を、ここで君と過ごしてゆくんだろ?
家までは残り、200メートル。
帰ったら、君に伝えるよ…。
玄関を開けると、朝ご飯がもう準備出来ていた。
お帰りなさい、といつもの君が、とても眩しかった。
言葉になるまで、残り一秒。
笑わないで聞いてね。
「僕と結婚してくれてありがとう。これからもよろしく!」
今日は早起きした土曜日。
今度から、ゴミ捨てくらいは。
僕の仕事に…。

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