「38.4・・・風邪ね」
体温計に表示される、今まさに計ったばかりの体温を読み上げる。
その当人は、今布団の中で顔を真っ赤にしている俺を、文字通り"呆れ顔"で見ていた。
「朝から顔色が良くないと思ったら・・・まったく。」
「しょうがないだろ。ひいちまったもんはひいちまったんだから。」
風邪になりたくても、俺の体は弱くない。
風邪には普通、罹りたくても罹れない性分なのだ・・・
「とか言って、結局罹ってんじゃない。どうせ、寝ている時にお腹でもだして寝てたんでしょ。」
う~ん。
俺、いつも腹出して寝てるんだけどな・・・
「昨夜は冷えてたの!いつも夏の夜は暑いとは限らないのよ!せめて布団くらい掛けて寝てよね。」
でもなぁ・・・寝る時は暑かったんだけどな・・・
「言い訳しない!」
そういって彼女は、踵を返して部屋を出て行く。
でもその時肩越しに、「・・・なんかあったら呼びなさい」って。
う~ん、そういうところについつい心揺れるというか・・・。